つい先日には昇階位試験と呼ばれる、神職の階位と階級を決める試験が行われた。
私が目標としていた直階四級にも無事合格して、少し自信も付いてきた。
これからもあの場所で頑張りたい。何よりも、守られて助けられてばかりだった自分から変わるんだと強く決意したばかりだ。
「そういえば、三学期の神社実習はどうだった?」
「凄く勉強になりました。授力についても教えてもらう機会があって……あ! 実習先、まなびの社だったんです!」
まなびの社、と聞いて禄輪さんが僅かに目を見開く。そうか、と小さく呟いた声には懐かしむ音が混じっていた。
神修の高等部は三学期の約三ヶ月間を使って全国各地の社で実際に奉仕をするという実習がある。私たち一年生は京都にある、まなびの社という所でお世話になった。
「千江さんや志らくは元気にしてたか」
「はい。志らくさんは禄輪さんに会いたがってましたよ。全然連絡くれないってちょっと怒ってました」
「志らくが? それは面目ないなぁ……」
志らくさんは、まなびの社で奉仕している本巫女だ。神社実習の間はとてもお世話になっただけじゃなく、私に授力の使い方を教えてくれた。
そして志らくさんは、花幡志ようさんの妹。全ての神職の頂点に立つ審神者と呼ばれる存在だった人だ。
志ようさんと両親、禄輪さんの四人は幼い頃からの知り合いで親友だったらしい。あの悪夢のような出来事、空亡戦が四人の仲を分かつまでは。