その行事の一環で雛人形の装束である十二単と狩衣を着た若い神職が神楽を演舞しながら参道を練り歩く「雛渡り」というイベントを毎年行なっており、その人員確保のために今回私が呼ばれた。

聖仁さんと瑞祥さんが部長、副部長を務める神楽部から毎年何人かが手伝いに来ているらしい。今年は一個下の盛福(せいふく)ちゃんと、中学三年生の玉珠(ぎょくじゅ)ちゃんが参加すると聞いている。


「舞は覚えれたか?」

「はい。瑞祥さんが鏡越しの映像を送ってくださったので、すぐに覚えられました。あれを歩きながら舞うんですよね?」

「そうだな! 十二単も着るからかなりきついぞ〜。着いたらすぐに衣装合わせと全体練習、フォーメーション練習に通し稽古だから、一緒に頑張ろうな!」


なかなかのハードスケジュールに頬を引き攣らせる。もしかして、私また大変なことを二つ返事で引き受けてしまったのかもしれない。

頑張ります、とぎこちなく頷けば瑞祥さんはガハハと笑って私の背を叩いた。