肌着にじんわりと湿った感覚が伝わってきて苦笑いを浮かべた。
「"信頼を失うも得るも、自分次第やろ"」
そんな声が聞こえて顔を上げる。瓏くんが傍にたっていた。
「前に信乃がそう言ってた。自分次第って」
二人は顔を見合せた。そして私を見上げると「取り戻してみせます」と決意の籠った強い眼差しでそう言う。
「おら、いつまで巫寿の上で泣いてんだ? あーあ、巫寿の白衣ハンカチ代わりにしやがって」
二人を引き離した瑞祥さんは、二人の額を人差し指で弾いた。ぐっしょり濡れた私の白衣を見て顔を青くさせる。
拭くもの持ってきます着替え持ってきますと飛び出して行った二人に慌てて伸ばした手は宙を掴む。
「立てる?」
「あ、うん。ありがとう」
差し出された手を借りて立ち上がる。
「あ、そういえば信乃くんが探してたよ。どこにいたの?」
「慶賀が、まだ気にしてたから。"気にするな"って話してた」
そっか、と目を細める。
大慌てで出て行った後輩二人のことは瑞祥さんに任せて、私達も車乗り場へ移動することにした。



