言祝ぎの子 伍 ー国立神役修詞高等学校ー



瑞祥さんのその言葉に背中を押された気がした。もう一度二人を見た。


「元通り……とはいかないと思う。やっぱり、許せない気持ちの方が、今はまだ大きいから」


言葉を選びながらそういえば、二人は頬を叩かれたような顔で俯いた。

私はそこまで出来た人間じゃないし、心が広いわけでもない。すぐに前みたいに振る舞うのは難しいだろう。

……でも、二人はここへ来て初めてできた歳の近い友達。慕ってくれていたのは充分感じていたし、私も二人のことが大好きだった。

皆と夜更かしして恋バナする時間も、休憩時間にお喋りに夢中になって聖仁さんに怒られる時間も、どれもすごく楽しかった。出来ることなら取り戻したい、かけがえのない時間だった。



「けど……また二人のこと、信じたいとは思ってる」



少し笑って肩を竦めた。

許せない気持ち以上に、二人と友達でいられなくなる方が寂しい。今もまだ、あの時間が戻ってこればいいと思っている。それが多分、私の答えだ。

二人が僅かに目を見開いて、鼻を真っ赤にさせた次の瞬間。


ドンッと体に衝撃が走って視界がひっくり返った。畳で背中を強打して既視感があるなぁと苦笑いをうかべる。


「みごどぢゃぁぁんッ」


お腹の上にのしかかる二人分の重みに呻き声をあげながら、その背中をポンポンと叩く。


「大好き大好き大好き……ッ」

「大好きです、本当に大好きなんです、信じてもらえるように頑張ります……ッ!」


涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を私の白衣に埋める。