瑞祥さんのその言葉に背中を押された気がした。もう一度二人を見た。
「元通り……とはいかないと思う。やっぱり、許せない気持ちの方が、今はまだ大きいから」
言葉を選びながらそういえば、二人は頬を叩かれたような顔で俯いた。
私はそこまで出来た人間じゃないし、心が広いわけでもない。すぐに前みたいに振る舞うのは難しいだろう。
……でも、二人はここへ来て初めてできた歳の近い友達。慕ってくれていたのは充分感じていたし、私も二人のことが大好きだった。
皆と夜更かしして恋バナする時間も、休憩時間にお喋りに夢中になって聖仁さんに怒られる時間も、どれもすごく楽しかった。出来ることなら取り戻したい、かけがえのない時間だった。
「けど……また二人のこと、信じたいとは思ってる」
少し笑って肩を竦めた。
許せない気持ち以上に、二人と友達でいられなくなる方が寂しい。今もまだ、あの時間が戻ってこればいいと思っている。それが多分、私の答えだ。
二人が僅かに目を見開いて、鼻を真っ赤にさせた次の瞬間。
ドンッと体に衝撃が走って視界がひっくり返った。畳で背中を強打して既視感があるなぁと苦笑いをうかべる。
「みごどぢゃぁぁんッ」
お腹の上にのしかかる二人分の重みに呻き声をあげながら、その背中をポンポンと叩く。
「大好き大好き大好き……ッ」
「大好きです、本当に大好きなんです、信じてもらえるように頑張ります……ッ!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を私の白衣に埋める。



