誰かを羨ましく思ったり、妬ましく思う気持ちは私にもよく分かる。
神修へ編入してきた頃は毎日がそうだった。小さい頃からこの世界にいて知識も技術もある皆が羨ましかった。何も出来ない自分が小さく見えて、できるみんなが妬ましかった。
そういう感情は自分を苦しめて、時に本当の自分を見失ってしまう。私があの時そうならなかったのは、クラスメイトのみんなが私の事を支えてくれたからだ。
「巫寿ちゃんが誰よりも努力家で真面目な人だって知ってたのに。部活がない日は自主練したり、図書館で勉強したりしてるのも知ってたのに……ッ」
「それなのに私たち、巫寿さんにあんな酷い態度を取って……なのに巫寿さんは、そんな私たちを怪我を負ってまで守ってくれて……ッ」
おそらく今回の瓏くんの一件の話をしているんだろう。
そこまで言って堪えきれなくなったのか、また大粒の涙をぽろぽろと零した。
「都合がよすぎるかもしれないけど……私は本当に巫寿ちゃんが好きで尊敬してるの。自分がした事の重さは、一生忘れない」
「だからいつか……巫寿さんが"いい"って思った時はまた……お友達に戻らせてください」
二人は肩を強ばらせてひどく怯えていた。
友達だと思っていた大好きな二人に無視されて、毎日が凄く辛かった。広まった噂は何一つ事実と違ったし、あっさりとそれを信じてしまう二人を恨んだ時もあった。
正直今二人から何を言われたとしても、二人と前みたいに友達として接することは難しい。きっとは私は二人のことを許すことは出来ない。
でも……本音を言ってしまってもいいのだろうか。私がそれを言ってしまうことで、二人が私以上に傷付いたりしないだろうか。
「言い残す方が、わだかまりになるぞ」



