言祝ぎの子 伍 ー国立神役修詞高等学校ー


あまりにも厳しい言葉に耐えかねてポロポロと泣き出した二人。でも可哀想だとは思はない。

「ほら行け」と背中を押された二人は、顔を真っ赤にして私の前に立った。


「……話したい事って何? 盛福ちゃん、玉珠ちゃん」


私に名前を呼ばれたことで怯えるように顔を上げた。久しぶりに二人とちゃんと目が合った気がする。


「────巫寿ちゃんのこと、羨ましかったの……」


嗚咽混じりに話し始めたのは盛福ちゃんだった。


「高等部から入ってきたのに、舞も上手で観月祭とか開門祭にも呼ばれて」

「巫寿さんは可愛くて賢くて、優しくて……」

「それなのに威張ることもなくて謙虚で……」

「本当に素敵な方だから……」


ひくひくと鼻をすする二人。

えっと……私今めちゃくちゃ褒められてる? そういう流れだったっけ……?


「年下の私たちにも"気兼ねなく接してね"って言ってくれてめちゃくちゃ性格もいいし」

「私のBL話にも嫌な顔せず付き合ってくれて……存在自体天使みたいな人で」

「おいお前ら落ち着け。話が逸れてる」


よかった。瑞祥さんが指摘してくれたおかげで二人がハッと我に返った。


「えっとだから……その上で今回飛び級合格までして……凄いなって思うのと同時に、羨ましいなって思っちゃって」

「気付いた時には、巫寿さんの事を妬む気持ちの方が大きくなってて……」