改めて瑞祥さんと向き直った。
「この二人が、巫寿に言いたいことがあるんだとよ。もちろんわざわざ付き合ってやる義理はないし、無視してもいいんだぜ」
無視、という言葉に二人はあからさまにショックを受けた顔をした。それがどれだけ辛いことなのか気付いたようで、泣きそうな顔で俯いた。
自分の中の悪い感情がほんの少し大きくなる。
傷付いたのも泣きたいのも全部私の方。二人にそんな顔をする資格なんてないはずだ。
捻くれた感情を堪えるように手のひらを握りしめる。
「……お気遣いありがとうございます。でも大丈夫です、聞きます」
「そうか、ありがとな」
瑞祥さんは優しい顔をして私の頭をぐしゃぐしゃ撫でる。
そして俯く二人に厳しい顔をした。
「先に言っておくけど、巫寿には絶対に謝るなよ」
予想外の台詞に目を点にした。
絶対に今から謝罪される流れだと思っていたのだけれど、瑞祥さんによってその未来はバッサリと切り捨てられる。
同じく驚いた顔をした二人が、「どうして」と訴える目で瑞祥さんを見上げる。
「当たり前だろ。お前らは絶対に許されないことをしたんだぞ。巫寿は優しいから、謝れば許してくれるだろうな。でも切り刻まれた紙が謝罪で元に戻るのか? お前らが傷付けた巫寿の心は謝罪で元に戻るか? 違うだろ。本当に反省してるなら謝罪で逃げるな」



