「瓏はどうなったんだよ! 呪印は上手くいったのか?」
信乃くんが隣で倒れる瓏くんの顔をのぞきこんだ。
「はぁ…くっそ疲れた。上手くいったはずや。気ぃ失っとるだけやし、ほっとけばそのうちケロッと起きてくるやろ」
呑気に寝よって、と瓏くんの鼻をつまんだ信乃くんはどこか嬉しそうに頬を緩めた。
皆が顔を見合せた。しばらくお互いの様子を伺って呆然としたあと、歓喜の雄叫びが揃った。
「シャァアッ!」
「うわぁぁ!」
皆ががむしゃらに拳をつきあげる中、私は腰が抜けてよろよろとその場に座り込んだ。手足が震えている。なんの震えなのか分からなかった。
……上手くいった。上手くいったんだ。
みんな無事だ。怪我も火傷もあるしボロボロだけど、誰一人欠けることなく瓏くんを助けることができた。
あの最悪な未来を、この手で変えることができたんだ。
目尻がカァッと熱くなって、堪えようと思ったけれど出来なかった。安堵と喜びと、とにかく色んな感情でぐちゃぐちゃになった涙が零れた。
皆が私の背中を叩いた。容赦のない手がちょっと痛くて、それ以上に温かくて嬉しくて、余計に涙が止まらなくなった。



