禄輪さんと神修の話をしながらのんびりと帰路を歩く。

とにかく本当に色々あった一年を振り返った。


神修、神役修詞高等学校(しんえきしゅうしこうとうがっこう)は私が通う少し変わった高校だ。

そこに通うのは普通の人には見えない不思議な存在────妖が見える子供たち。そして言霊(ことだま)の力と呼ばれる、言葉を発することで言葉通りの事象を発生させることが出来る力を持つ子供たちだ。

神修ではその力の使い方を学び、その力を使って人と妖を導き統治する役職、神職になることを目指す場所だ。

私ももちろん言霊の力を持っている。

それに気がついたのはちょうど一年前の今頃、中学三年生の冬だった。たった一人の兄が何者かに襲われ失意の中私も魑魅(すだま)とよばれる妖に襲われた。

その時に助けてくれたのが、この神母坂(いげさか)禄輪(ろくりん)さん。亡くなった両親の友人であり、私たちの後見人をしてくれている人だ。

助け出された私は禄輪さんから両親に特別な力があること、その力を自分も受け継いでいることを教えらた。

そして私は両親のこと、自分のことを知るために神修へ入学することを決意した。


右も左も分からず飛び込んだ神修ではたくさんの出会いがあった。この一年間苦楽を共にした五人のクラスメイトに頼もしい先輩たち、進むべき道を教え導いてくれる先生。

本当に色々あった一年間だったけれど、皆に支えてもらったおかげで何とか乗り越えることが出来た。