私の鼓舞の明は皆を鼓舞する光。皆を守りたい、皆の背を押したい。そう強く祈りながら舞う。
皆が祝詞奏上しながら横目で私を見ている。私よりも危ない場所にいるはずなのに私の身を案じてくれている。私の力を信じてくれている。
私は、その期待に応えたい。
皆が作ってくれた道を次に、信乃くんに繋ぐ。信乃くんの背中を押すために、信乃くんが進む道を照らすために舞うんだ。
お腹の底が熱くなるのを感じる。そこから血液が流れるように身体中を熱い何かが巡っていく。前よりもその感覚は鮮明で体に馴染んだ。
閉じていた目をうっすら開いた。自分の体わずかに発光し、その光の粒が周辺に広がっていく。
それはみんなに降り積もり、やがて体へ溶け込んで行った。
「惚れ惚れするほど綺麗だ……」
鬼市くんの呟きが聞こえて少し恥ずかしくなったけれど、「惚気ける暇があるなら奏上しろ奏上ッ!」と恵衣くんの怒り狂う声に我に返る。
最後まで集中しなきゃ。
最後のパートに入った。必死に気持ちと祈りを込める。
瓏くんを、皆を、この舞で助ける。
「……今です!」
最後の型が終わった瞬間、みんなに聞こえるようにそう叫んだ。
「落としてッ!」
聖仁さんのその声を合図に皆がピタリと奏上を止めた。それに伴って言霊の効果も切れて、風に煽られて宙に浮いていた瓏くんは重力に従い落下を始める。