友達を助けたい、その気持ちは痛いほど分かる。私たちだって何度もその気持ちが原動力になって厳しい局面に挑んできた。
ただ今回は未来を見た。挑めばどうなるのか、みんなも知っている。
泣き叫ぶ聖仁さんを見た、酷い火傷を負う瑞祥さん、来光くん。青い火に包み込まれた皆を見た。あんな光景はもう二度と見たくない。
だったらどうすればいい?
今の私たちに何ができる?
助けたい、皆誰一人欠けることなく。
助けたい、皆を助けたい。
「要はあいつを拘束できればいいんだろ」
怪し火をで煤けた頬を拭いながらそういったのは恵衣くんだった。
「攻撃が通じないなら反対に防御を固めて近付けばいい。全員で一斉に突撃すれば、少なくとも一人はあいつに手が届くはずだ。あとは祝詞は使わず物理的に気絶させれば問題ない」
「恵衣! そんな簡単な話じゃないんだよ!」
ふん、と鼻を鳴らした恵衣くんは聖仁さんの叱責にも耳を貸さず顔を背ける。
訴えるような信乃くんの視線に唇を噛む。
「聖仁! お前なら何とかできるだろ!? ていうか何とかしろよそれでも男かッ!」
瑞祥さんが聖仁さんの胸ぐらを掴んで譲った。聖仁さんの瞳が揺らぐ。
クスノキの上から呻き声が聞こえた。信乃くんの表情が強ばる。今にも飛び出していきそうな身体を、聖仁さんが咄嗟に捕まえる。



