「宮司交代がひと段落着いたら、これまでみたいにしょっちゅう帰ってくることはなくなると思う。年に三回くらいになるやろな」
「そっか」
「もともとお前ん事拾ってきたんはオヤジやし、悪いようにはせんやろ」
「ん」
本当にわかっとるんかこいつ。
これまで俺が宮司として気にかけてやって部分が、今後はそうもいかなくなるかもしれない。自分の立場が危うくなるとか里にいられなくなるかもしれないとか、そういう心配はないのだろうか。
「お前さ」
うん?と声だけで返事をする。
「俺と一緒に、神修通うか?」
手を止めて顔を上げた。
目を瞬かせて俺を凝視する。
「これまでオヤジに稽古付けてもろてたみたいやけど、オヤジが宮司代になってその時間も取れんくなるやろ。それやったら神修で力の使い方を勉強するのも良いんとちゃう?」
「でも」
「オヤジには許可取った。あとはお前次第」
先程、瓏のこれからについてオヤジに相談した際に半ば強引に許可はもぎ取ってきてある。
「俺もこのまま宮司続けるんやったら高等部には進学せんかったけど、幸いなことに交代になったし来年の春から俺も高等部に通う。知らん場所にお前一人ってことにはならん」
うん、と瓏が頷く。
表情が乏しいので、どういう反応なのか分かりにくい。