目が覚めると家でも寮でもない天井が目に入った。少し埃っぽい布団に寝かされている。
ゆっくり体を起こすと、見覚えのある和室だった。
「そっか、かむくらの社……」
布団の上に置いた手を見つめる。
禄輪さんに連れられてかむくらの社へ来ていたんだった。
布団から這い出て障子を開けた。眩しい太陽の光が顔中に降り注ぐ。太陽が真上に来ている。時刻はお昼を過ぎた頃くらいだろうか。
確か私がここへ来たのが夕方頃だから、かむくらの社で一晩明かしたことになる。
額に手を当てて息を吐いた。またこんな重要な場所で呑気に眠りこけてしまうなんて。
息を吐きながら部屋の中へ戻る。布団を畳みながら部屋を見渡した。
一年前に初めてここへ来た時にも止まった部屋だ。ふみ机とタンスしかない質素な部屋。けれどすごく日当たりが良くて穏やかな時間が流れている。
初めて来た時からどことなく感じていた懐かしさ。見覚えのある匂いに景色。
夢で見た、昔の記憶。
私は小さい頃にもここに来たことがあったんだ。
そしてお母さんと仲が良くてよく面倒を見てくれた綺麗なお姉さん、"しようちゃん"。
その程度の記憶しかないけれど間違いない。彼女は元審神者の志ようさんだ。