「御祭神さまがお認めになったから、再び選ばれたんやろ」 親父が顔を顰めた。鼻を真っ赤にして俯く。震える拳を握りしめ静かに立ち上がった。 神職たちの視線が集まる。オヤジを歓迎している視線ではい。 「十二代目宮司代は信田妻狐の妖、気狐の信貫(しかん)が預かる」 オヤジが声高らかに宣言したその瞬間、両肩にのしかかっていた重圧から開放された気がした。