"しようちゃん"が私に手を伸ばす。擦り寄って抱きついた。優しい匂いがする。お花と畳とお社の匂いだ。
お母さんが私と"しようちゃん"ごと抱きしめた。
────巫寿。可愛い巫寿。
しようちゃん、どうしたの? なかないで。
────どうか私を許して。
おかあさん、しようちゃんないてるの。どうしたらいい?
────巫寿、大切な子。私たちの希望。
お母さんも"しようちゃん"も、どうしてこの時泣いていたんだろう。何の話しをしていたんだろう。"しようちゃん"はどうして私を抱きしめて許してと言ったんだろう。
どうして今に、なってこんな事を思い出したんだろう。