子供らを家に送り届けると一目散に離れへ向かった。廊下を駆け抜けあいつのいる部屋へ勢いよく飛び込む。
勢いよく開いた障子に、前と同じ驚いた顔で俺を見あげる。
「信乃」
やっぱり俺と目が合うなり、嬉しそうに名を呼んだ。
無言でずかずかと中へ入った。そのままの勢いでそいつを押し倒す。袖をめくり、前合わせを引っペがし、裾をたくしあげた。
「信乃……?」
されるがままのそいつが、やっと困惑した声を出す。
子供らの肌にあったものとは比べ物にもならないほどの酷い痣が身体中にあった。
治りかけている切り傷から、直近で付けられたような痣まで。着物で隠れている箇所は、普通の肌色を探すの方が難しかった。
着物を直した。その手が震えていることに気がつく。唇をかみ締めた。
「なんで庇った」
そう問うたことで、"言えない"理由がばれていることに気付いたらしい。
少し困ったように眉を下げて目を細めた。
「……そうするもの、だと思ったから」
「普通そんなんせんわ! 自分を犠牲にする奴があるかッ!」
頬に熱い線が走る。どうして自分が泣いているのか分からなかった。