人とは違って妖は誰でも神修に通える訳ではなく、宮司候補か次期宮司しか通うことが出来ない。昔から後継争いが何度も繰り返されてきたためそうなったらしい。
俺が五歳で神託を受けた時、伊也ねぇは十歳だった。もちろん跡継ぎ候補として神修へ通っていた。俺が次期頭領に決まって、その年の三月に伊也ねぇは神修から除籍された。
それを境に伊也ねぇは人が変わってしまった。
仲の良かった里の友人たちとは口を聞かなくなった。自分よりも弱いものに手をあげるようになった。
俺を、憎むようになった。
オヤジやお袋は伊也ねぇの問題行動を知っていて、でもどうにも出来ずに頭を悩ませている。
何かを変えれるとしたら、次期頭領の俺しかいないのだと思った。
俺にはやる事が山積みなんだ。オヤジから仕事を学ばなければならない。沢山勉強して早く頭領を引き継がなければならない。里の子供らを守ってやらないといけない。
俺がこの里を、どうにかしなきゃいけないんだ。