けれど今はほんの少しだけ声に反応している。

もしかしたら、まだ。


瓏ッ!

信乃くんが名前を呼ぶ。鬼市くんも嘉正くんたちも。私も名前を呼んだ。

僅かに唇が動いた。何か話しているみたいだった。


「何や瓏!? もっとデカい声で喋らんかいッ!」

「────く」

「はァ!?」

「やく、そく」


やくそく……約束。確かにそう聞こえた。

なんのことだか分からず信乃くんを振り返る。信乃くんはまるで頬を叩かれたような顔で呆然と立っていた。


「約束」


もう一度はっきりとそう言った瓏くんの頬に一粒の涙が流れた。