目が回る。座っているのに寝転んでいるみたいで、まっすぐ前を向いているはずなのに世界が回る。寒くて暑い。震えが止まらない。

言霊の力を使った時にどっと疲れる感じとは違う。もっと内側から何かが減るような、増えるような。とにかく自分の中で激しく何かが変化しているのが分かる。


これが呪を言祝ぎに転じさせるということなんだ。

何度か深く息を吐いて心を落ち着ける。強ばっていた肩の力が抜けて、震えるだけだった手指に力の芯が通った。


禄輪さんが止めないということは想定内ということだ。大丈夫、落ち着いてやろう。


自分をそう鼓舞してぐっとお腹に力を入れる。

背筋を伸ばし、強い柏手を響かせた。