「瓏くんが変化して、怪し火で山に火をつけたの。私が見た未来では……私たち全員火に焼かれてしまう」
慶賀くんは目玉がこぼれおちそうな程に目を瞠った。
掠れた声で「そんな事に……」と呟く。
自分が瓏くんとはぐれてしまったことを悔やんでいるんだろう。
お前は悪くないよ、と来光くんがその背中を叩く。いっそう泣きそうな顔をした慶賀くんは唇をかみ締めて身を乗り出す。
「他には、他には見てないのかよ!? 俺と瓏が別れる瞬間とか、その前とか!」
「ごめん、そこまでは見えてないの。瓏くんが変化した後からしか……」
「そうか……」と慶賀くんが俯く。
もう少し前の景色から見れていれば、もっと出来たことはあったはずなのに。
「慶賀と合流できただけでも大収穫だよ。とにかく降りよう」
信乃くんはまだ納得がいかない表情だけれど、聖仁さんとの約束を守ってひとつ頷いた。
慶賀くんとも合流できたし、瓏くんの居場所もおおかた分かった。私が見た未来では瓏くんを探している時にはもう火の海だったし、順調に未来は変わっている。
これなら大丈夫かもしれない、そう思った次の瞬間。
後ろから膝を蹴られたみたいにかくんとその場に崩れ落ちた皆。私も気がつけば地面の上に寝転がり、とてつもない力で体を捩じ伏せられているのを感じた。