「聖仁の今の発言は間違ってるぞ」


え?と目をしばたたかせた聖仁さん。瑞祥さんは肩を落とす私たちを見回してニィッと歯を見せた。


「聖仁お前、まだ誕生日来てないよな? 私は先月が誕生日だったから十八になった。聖仁はまだ十七だぞ」

「……つまり何が言いたいの?」

「つまり、今ここでの最年長者は私だ」


しまった、という声が分かりやすく見えた。

咄嗟に反論しようと口を開いた聖仁さんよりも瑞祥さんの方が僅かに早かった。


「今からクスノキに立ち寄るけどあくまで遠くから確認すること、もし二人を見つけても近付かずに場所だけを先生に報告して直ぐにその場から離れること! 最年長者とのお約束だぞ!」


瑞祥さん!と皆が感激の声で名前を呼ぶ。


「このッ、バカ瑞祥!」

「バカって言った方がバカなんですぅ」

「どういう状況か分かってんの!?」

「バカじゃないんだから分かってるよ! いちいちうっせぇブワァァカ!」


怒涛の勢いで始まった喧嘩に困惑する。

前に、後輩の前では喧嘩してるところは隠すって言っていたけど、二人はいつもこんな勢いで喧嘩してたんだ……。

確かに私が二人の立場なら後輩には見せないようにするかもしれない。

なんというか……二人とも大人気ない。