「先見の明ってほんまに当たるんか!? やったら俺は下山するより瓏を探したい!」


険しい顔で来た道を振り返る信乃くんの背中を泰紀くんと来光くんの二人が押す。


「当たるとか当たらねぇとかそういうんじゃねぇ、これから起きる未来を伝える力だぞ!」

「巫寿ちゃんの先見の明で僕らは何度も助けられてるんだ。間違いない!」


二人の言葉からは私の力を信頼してくれているのがとても伝わってくる。

来光くんと目が合った。にっと歯を見せて私に笑いかける。


「少なくとも違う未来になるようにこうして動き出してる。瓏なら絶対に大丈夫だから」


苦虫を噛み潰したような表情で俯いた信乃くん。振り返るのはやめて前を向いて走り出した。


「でもどうして未来の瓏は変化してしまったんだろう。自分で呪印を解くのはよくあるの?」

「んなわけあるか。滅多な事じゃ自分から解いたりせん。解いたらどうなるかはアイツが一番よう分かっとる」


信乃くんがそこまできっぱり言い切るんだから間違いないだろう。

となると本当にどういう理由で呪印を解いたのか。


開門祭の時のようにそうしなければならないような状況、もしくは────。


「誰かがあいつに怪我を負わせて、呪印を消したか」


私の頭の中を見透かしたように恵衣くんが口を開いた。