少し前までは周りに学生たちが沢山いたけれど、今はもう木か残穢しかない。恐らく頂上に近付くにつれて難易度の高い残穢が用意されているのだろう。一年生や着実に得点を稼ぎたい学生は皆は麓にとどまっているようだ。
私達も最初はチームワークがバラバラでも何とかなったけれど、今では協力プレーを余儀なくされている。
それなのにこの二人ときたらことある事に喧嘩して私が仲裁に入っている。
でも二人とも自分の役目はきっちりこなすタイプなので着実に修祓を進めているし、実戦経験が豊富だからか息は合わないこともないらしい。
これで喧嘩さえしなければ良いバディになれるはずなんだけどな。
「巫寿、恵衣。浮遊霊御一行だ。鎮魂いくぞ」
先を行っていた鬼市くんが振り返った叫んだ。遠くで木と木の間をふよふよ漂う黒い影が見える。
「了解……! 今そっち行くね」
「命令するな。分かってる」
文句を言いつつも素直に駆け出した恵衣くん。
この調子なら割といい所まで行けるかもしれない。