「はぁ」

「なんだよ文句があるなら言えばいいだろ」


分かりやすくため息をついた鬼市くんの態度が気に入らなかったのか眉を釣りあげた。


「言いたいことがあるのは恵衣の方だろ」

「……はぁ?」

「自分の気持ちも伝えられないくせに、人の事に首突っ込むなよ」


カンッと喧嘩のゴングが鳴り響いたのを悟って「ストップストップ!」と間に入る。二人ともつかみかかる直前だった。

何で恵衣くんはすぐに喧嘩腰になるかな。鬼市くんも恵衣くん相手だとなんだかいつもよりも冷たいし。

競技中はチームを組むわけだし少しは協調性を持とうという気にならないのだうか。


「二人とも落ち着いて。もうすぐ始まるから」

「巫寿、こいつ置いていこう」

「置いていかれるのはお前だッ!」

「もー!」


始まる前から先行きが不安だ。

慶賀くんのチーム分けに最初は感心していたけれど、やっぱりこの二人の組み合わせは間違っている気がする。