目元が嘉正くんそっくりなぷくぷくほっぺの女の子が満面の笑みでピースしている写真だった。

堪らず可愛い〜!と声を上げると満更でもない顔つきで「でしょ」と鼻を鳴らす。


「うちは結構歳が離れてるからさ、もう可愛くて可愛くて。だから巫寿の兄さんがあんな感じなのもちょっと分かるって言うか」

「冗談だよね……?」

「いやいや、本気」


まさかこんな所にもお兄ちゃんと同じ人種がいたなんて。

十年後に嫌われないといいね、と心の中で零す。


「信乃も兄妹多いぞ」

「そーなのか?」

「うちは8人兄弟や。下に男男女女男女男」

「わ、賑やかだね」

「うるさぁて敵わんわ」


そう言いつつも優しい顔なのは兄妹を大切に思っている証拠だろう。

こうして家族の話をすることはこれまで滅多になかったので皆の意外な一面を知れて嬉しい。


「皆、薫先生からアイスの差し入れもらったよ」

「他のクラスにはないから隠れて食えってさ〜!」


職員室へ軍手を借りに言っていた聖仁さんと瑞祥さんが買い物袋を両手に提げて戻ってきた。

まじで!?と皆が興奮気味に駆け寄る。


「ガリゴリくんのソーダ味ある?」

「多分あったよ。それと二個伝言で"任務入ったから今日のホームルームなし。伝達事項の紙貼ってあるからよく見るように"だって」

「おおっラッキー! じゃあもう一個の伝言は?」


もう一個は瓏宛てだよ、と瓏くんに向き直った聖仁さん。

瓏くんは不思議そうな顔で目を瞬かせた。