やれやれと首を振った信乃くん。
皆は「なんだそういう事か」と深く息を吐いた。
「俺こんなだから、みんな俺のこと避けて無視する。けど信乃と鬼市と、こっちの神修のみんなは俺と話してくれる。それが、すごく嬉しい」
「別に普通だろ? 友達じゃん」
「特別なことした覚えはないけどなぁ」
二人の言葉に小さく首を振って微笑んだ。
「普通なのが、嬉しい」
みんなはちょっと照れくさそうにお互いに視線を合わせて頬をかいた。
「ま、俺も瓏のこと結構好きだぜ。もちろん友達としてだけど」
「ありがとう。俺も泰紀のこと好き」
「お、おう……」
愛を確かめ合う二人の横顔を見ながら、来光くんが「なるほどな」と呟いた。
何がなるほどなの?と尋ねる。
「前に信乃が言ってたじゃん。"お友達大好きだから、友達のためなら何でもする"って。今ので納得できたなって」
ああ、なるほど。あの時は理解できなかったけれど、確かに今やっと信乃くんの言葉に納得した。
瓏くんの過去や今どんな状況に置かれているのかはざっくりとだけれど聞いている。だからこそ、彼にとって友達がどういう存在なのか痛いほどに分かる。
「僕も瓏のこと好きだよ」
「わ、私も……!」