「おかえり〜……ってあれ?」


並べられた布団の上で寝転がっていた来光くんは、揃って帰ってきた私たちを不思議そうに見上げた。


「部屋にいないと思ったら巫寿と一緒だったんだね、恵衣」

「うるさいッ! だからなんだよ悪いか!? 俺はもう寝るッ!」


ズンズンと大股で部屋を横切った恵衣くんは一番奥の布団に潜り込む。


「何なの!? 僕が何かした!?」

「いや、違うの。恵衣くん薫先生に散々からかわれて」

「だからって僕に当たるなよッ!」


飛びかかりそうになった来光くんを慌てて抑えた皆。まぁまぁまぁ、と宥められた来光くんは眉を釣りあげながらも布団に戻る。


「皆何してたの?」

「一通りトランプして、飽きたからゴロゴロしてたんだよ」

「相撲しようと思ったけど、慶賀が寝ちまったから騒げなくてさ〜」


恵衣くんの向かいの布団が膨らんでいる。慶賀くんはあの後やっぱり眠ってしまったらしい。よっぽど疲れていたんだろう。

巫寿こっち、と招かれて鬼市くんの隣に腰を下ろした。


「折角だし怖い話でもしよーぜ!」

「妖怪とすることか、ソレ」

「文句言うならお前が決めろよ信乃!」


せやなぁと顎を摩ると何かを閃いたように指を鳴らし泰紀くんの顔を覗き込んだ。


「学生の夜更かしゆうたら、恋バナやろ」

「……は!?」

「聞いた話では、泰紀にはいい感じの子がおるんやてな?」