誉さんとの稽古が、審神者教育の一環……?


「本庁派だとか神職派だとか、俺はクソどうでといいけど、教え子を影で好き勝手されるのは頂けないね。ああでも、巫寿が審神者を目指したいなら話は別だけど」


二人の視線が私に向けられる。

審神者がどういう役職なのかは教えてもらった。審神者になると生活がどう変わるのかも志らくさんの話でなんとなく想像は付く。

大切なお役目で名誉ある仕事なのも分かっているけど……。


「条件どうこう言う前に、そもそもお前審神者になるための体力気力根性全部あんのか」


あの広いお社をたった一人で維持する体力、一人で住む気力、全神職のトップに立つ根性。

恵衣くんの冷静な質問に、混乱していた頭がスっと落ち着く。


「全部ないかも」

「じゃあ無理だろ。ていうかお前が引き受けるよりも先にお前の兄貴がかむくらの社潰すぞ」

「間違いない……」


うちのお兄ちゃんなら本当にやりかねない。

するとさっきまで深刻な顔をしていた薫先生があははっと声を上げて笑った。


「そうだね。あのオニーチャンならやりかねないね」

「笑い事じゃないですよ……」


薫先生はぽふぽふと私の頭を叩く。


「でも恵衣の話じゃ、巫寿はほぼ審神者に内定してるってことになるね。となるとやっぱり結婚するしかないなぁ……」


は!?と素っ頓狂な声を上げた。