「ちょ、俺と鬼市は休憩。お前ら体力バケモンかいな」

「妖に言われると嬉しいな!」

「褒めとらんわ。瓏と嘉正、交代して」


ハイタッチで交代した四人。そして直ぐにまた白熱した試合が始まった。

疲れ切った様子でベンチに腰掛けた二人に「お疲れ様」とコーヒー牛乳を差し出す。


「二人ともぼろ負けしてたね」


笑いながらそう話しかけると二人は分かりやすくムッと唇を突きだす。


「だって卓球なんて鞍馬の奴らとはやらんし。あんなチッコイ玉打てるかいな」

「相撲なら間違いなく勝てる」


鬼市くんと相撲対決なんてしたら誰も勝てないって、と心の中でつっこんだ。

ルールを教えて貰っている瓏くんの横顔を見た。少し口角が上がっている。どこか楽しそうだ。


「薫先生、おおきにな」


瓏くんの背中を眺めながら、信乃くんが少し頬を緩ませてそう言う。


「ん? 何が?」

「妖の世界でもこっちの世界でも、結局瓏は異質扱いやからさ。こうしてこっちの神修で普通に勉強して遊べるんは、薫先生の計らいのおかげなんやろ」

「あはは、ヤダなぁ。センセー何にもしてないよ。まぁでも悪い気はしないから、お礼は貰っとこうかな」

「おーおー、もらっとけ。信田妻一族次期頭領の感謝なんて数年後にはプレミア付くぞで」


生意気な、と軽いゲンコツを落とされた信乃くんはちょっと嬉しそうだった。