「ウルトラスーパースマァァッシュ!」
「インテリハイパーバリァァア!」
目の前で繰り広げられる泰紀くんと来光くんの白熱した試合に私たちは笑い声を上げた。
中学の修学旅行でもクラスメイトと卓球をしたことがあるけれど、どうして男の子って横文字の技名を叫びたがるんだろう。
「エクストラゴッドレシィィィブ」と叫ぶ泰紀くんにちょっと呆れながら薫先生が買ってくれたフルーツ牛乳を飲む。
「元気だねぇ、若者たちは」
「薫先生オッサンみたい」
ベンチでくつろぐ薫先生に嘉正くんそうからかう。
「ちょ、やめてよまだそんな年齢じゃないし。……あー、やっと今禄輪のオッサンの気持ちが分かった」
「禄輪さんですか?」
「んー、ふふ。こっちの話」
へらっと笑った薫先生。
「慶賀は卓球しないの?」
隣に座っていた慶賀くんに薫先生が声をかける。ぼんやりしていた慶賀くんが「え?」と顔を上げた。
「卓球しないのって」
「あー……俺はいいや」
こういうのは真っ先に参加する慶賀くんが珍しい。冴えない表情に少し心配になる。
「流石に疲れた? 眠いなら部屋戻っときな」
曖昧な返事でまたぼんやりする慶賀くん。
薫先生が「もたれていいよ」と笑う。慶賀くんは黙ってその肩にもたれかかった。
このところ誰よりも奉納祭に向けて頑張っていたし、どっと疲れが出たんだろう。