聞くと、ここは本庁と提携している宿屋で急な泊まりがけの任務になった時に空きがあればタダで泊めてくれるらしい。全国各地にそんな旅館が点在しているんだとか。

『ホテルに泊まってもいいけど、経費で落ちない時とかあるから覚えとくといいよ』と薫先生が教えてくれた。

前にお兄ちゃんが「クソみたいな仕事だけど福利厚生はなかなか良い」と言った。おそらくこういう所なんだろう。


親切な女将さんが明け方まで大浴場が開いていることを教えてくれて、折角ならということでみんなで向かい今に至る。

建物自体は古い作りだけれどどこも大切に手入れされているのが分かる。廊下では所々付喪神の姿も見かけたし、建物自体も雰囲気がいい。

本庁と提携しているだけあるなぁ、と辺りを見回し立ち上がった。