庭園を抜けて社頭に出てきた。参道を通りながら本庁へ向かって歩いていると、丁度薫先生が庁舎から出てくる姿が見える。
ガシガシと頭をかいた薫先生は天を仰ぎひとつ息を吐く。
薫先生も何だかちょっと疲れているみたいだ。
おーい、薫センセー!と慶賀くんが大きく手を振る。私たちの姿に気が付き笑みを浮かべた薫先生が軽く手を挙げた。
そしてその手をクイクイと数回動かす。
「薫先生がこっち来いって言ってるぞ」
なんだろうね、と答えながら皆でバタバタと駆け寄った。
「あはは、夕方でも君らは元気いっぱいだね。皆お揃いでどーしたの」
「部活終わったから形代操術の稽古したくて、センセーのこと探してた!」
「あはは、なるほど。ならよかった」
良かった? 何が良かったんだろう?
どういうことだよ、とみんなが首を傾げる。
「君らが揃ってるとまた何かしでかしたんじゃないかってヒヤヒヤするからさ。何も無くてよかったってこと。あはは」
薫先生はひっでぇ!と不服の声を上げる皆の額を弾いた。
「それで、悪いけど稽古は見てあげれないんだ。本庁のクソジジイ共に重めの任務任されれちゃって、すぐに出なきゃいけないんだよ。マジで人を何だと思ってんだろうね」
私の額を弾く代わりにポンポンと叩いた薫先生。ひとつ息を吐いた。