「巫寿ちゃんも稽古終わったの?」

「うん、さっき」

「かなりハードだったんだね。川に突っ込もうとするなんて」


苦笑いを浮かべる。考え事をしていたとはいえ、危ないところだった。二人の助けが無ければ今頃小川に流されていたところだ。

改めてもう一度二人にお礼を言った。


「みんなは部活帰り?」

「そ。これから薫先生捕まえて、最終下校時間まで形代操術の稽古つけてもらおうって話してて。巫寿も誘おうとしてたけど、疲れてるならやめとく?」


慌てて「元気元気、参加する」と両手を振った。

ぼーっとしていたのは疲れていたからではなくて考え事をしていたせいだ。

奉納祭も近いし未だに式神を動かす度に目を回しているので練習しておきたい。


「さっき職員室寄ったら薫先生は本庁に呼ばれたって言ってたけど、巫寿見かけた?」

「あ……どうだろ。考え事してたから見てないや」

「んなら皆で探しに行くかぁ」


庭園を横切りながら信乃くん達に話しかける。


「信乃くんと瓏くんが弓道部で、鬼市くんは柔術部だっけ?」

「そーそー。部員みんなで邪魔させてもろてるんやけど、こっちの部長さんなかなかクセ強いな」