眉根を寄せて机の木目をじっと見つめる。そうしていないと色々なものが我慢できそうになかった。


眞奉、今どこにいるんだろう。

言祝ぎが得られないということは、ご飯を食べれていないのと同じ状況のはずだ。

今もどこかですごく苦しんでいるかもしれない、そう思うと申し訳なさや後悔がぶわりとこみ上げる。胸が苦しくてたまらなかった。


「そう落ち込まんでいい。十二神使の真の主は撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめのみこと)だ。巫寿のそばにいないなら、間違いなく祭神さまの元に戻っているはずだ」

「本当ですか……?」

「ああ。だから今から巫寿の言祝ぎを戻して騰蛇を呼び戻す。さぁ、やることは山積みだ。泣いてる暇はないぞ」


膝を打って立ち上がった禄輪さん。

私が目を丸くして見上げると、目を弓なりにして微笑んだ。急いで袖で目尻を拭うと力強く頷き立ち上がる。


「やります……! やり方教えてください……!」


私の言葉に禄輪さんは「よし」と強く背中を叩いた。