「巫寿さんは審神者について興味があるの?」


そう尋ねられて慌ててぶんぶんと首を振った。


「興味があるのではなくて……志ようさんはお母さんの友達で、私の夢にも出てきたことがあるんです。それに眞奉も審神者と関係がある十二神使だし……」


ふと脳裏に白い影が過ぎった。忘れかけていた記憶が溢れ出した煙のようにふわりと蘇る。

かむくらの社で出会った白い着物を着た男。妖であって妖でない、穢れを嫌う潔白で唯一の存在。

知らないはずなのに知っていた、無意識に恣冀(しき)と呼んだあの妖。


「……あの、誉さん」


うん?と誉さんが首を傾げた。


「誉さんは、ほかの十二神使について分かりますか?」

「ほかの十二神使?」


ひとつ深く頷く。


「私、多分眞奉以外の十二神使と一度だけ会ったことがあるんです。真っ白な髪に、琥珀色の瞳を持った男性の体をした姿でした。確証は持てないけど、彼は十二神使だって強く思うんです」


ふむ、と腕を組んだ誉さん。


「神職の直感というのは結構当てになるものなのよ。巫寿さんがそう思うなら、本当にその彼は十二神使だったのかもしれないわね」


本当ですか!?と身を乗りだす。