「私は歴代の審神者さま達よりも言祝ぎの力が格段に弱いの。十二神使というのは審神者の言祝ぎの総量を見て仕えるかどうかを判断するから、私は騰蛇しか使役できなかったのよ」


いつもよりも少し早く稽古を切り上げて、誉さんから審神者時代や眞奉との思い出話を聞かせてもらった。

審神者については授業で習う訳でもないのでかなり興味深い。折角だし色々聞いてみようとみを乗り出す。


「そもそも審神者ってどうやって選ばれるんですか?」

「本庁の上層部が選ぶのよ。だいたい500年くらい前までは審神者はかむくらの社の神職だし通例通り御祭神様が選んでたみたいなんだけど、途中からは御祭神さまにお願いして本庁が選ばせてもらえることになったのよ」


確かにどこの社の神主は神託によって選ばれる。かむくらの社には神主がいない代わりに審神者が奉仕しているから、本来なら審神者は御祭神である撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめのみこと)が選ぶはずだ。


「神様たちは神職を選ぶ時、向き不向きに関わらず人で選ぶのね。でも神職たちの頭である審神者に向いていない人が選ばれて、ころころ変わると大変でしょう? だからよ」

「なるほど……」


大切なポジションの神職がころころ変わってしまうと確かにみんな混乱してしまう。

でも、「貴方が選ぶ審神者だと不都合があるので、こっちで選んでいいですか?」ってお願いして、神様は聞き入れてくれるんだろうか。