久しぶりの再会のはずなのに黙ったままの眞奉に首を傾げた。


「誉さんと喋らないの?」

「今の(あるじ)は、巫寿さまですので」


頑なな態度に肩をすくめる。


「巫寿さん、十二神使はそういうものなのよ」

「でも私は気にしませんよ? ほら」


無理やり眞奉の手を取って誉さんの手に重ねた。眞奉の瞳が僅かに揺らぐ。誉さんが少し不安そうにその瞳を覗き込んだ。


「……ご壮健で何よりです、誉殿(・・)


誉さんは喜びと寂しさの混じった表情で優しく目を細める。

ひとつ頷き眞奉の手を握りしめた。


「……あなたも元気そうでよかった。あの頃から何一つ変わってないのね」

「妖は歳をとりませんので」

「そういうことじゃないわよ」

「誉殿は昔から要領を得ないことばかり仰います」

「言ったわね? あなただっていつも────」


誉さんが審神者だったのは今から30年以上も前のこと。けれど二人の掛け合いはまるで昨日も会っていたような親しい友人の距離感だった。

眞奉の口元が僅かに緩んでいるのが見えた。いつも無表情が基本の彼女が珍しく笑っている。


それが嬉しくて、会話を楽しむ二人の姿をしばらく黙って見つめた。