ため息を吐きながら合格通知をかざす。
「違うよ、昇階位試験の合格通知だった」
『ほんと!? おめでとう! 合格通知届かないって焦ってたもんな。これで巫寿も直階四級、神職の仲間入りか。感慨深いなぁ……』
電話の向こう側でしんみりするお兄ちゃん。
私は無言で合格通知を見つめる。
"直階一級 椎名巫寿
上記の者は二○二三年冬季昇階位試験において頭書の階位に合格したことを証明します。"
合格はしている、でも直階一級なんだよなぁ……。
お兄ちゃんに話せば余計に話がこじれそうなので、やっぱり黙っていよう。この件に関しては禄輪さんと薫先生に任せるのが一番いい。
『ねぇねぇ巫寿、合格証明書と一緒に写真撮って送ってよ! 神棚に飾るから!』
「や、やだよッ……! じゃあ私忙しいからもう切るね、バイバイ!」
何か言いかけたお兄ちゃんを無視して無理やり通話を終わらせる。
「眞奉、お兄ちゃんのことは無視していいから。今度また脅してきたら、お兄ちゃんのこと嫌いになるって言っておいて」
「かしこまりました」
無表情で頷いた眞奉。
どっと疲れて息を吐いたその時。
「────あなた……騰蛇なの?」