「でも眞奉の方がお兄ちゃんより強いでしょ? どうして言う事聞いたの?」


十二神使は最高神に仕える妖だ。おそらくお兄ちゃん程度じゃ束になっても軽くひねり潰されるはず。


「あの者は狂気じみた目をしておりました。十二神使でも遠方から呪われると太刀打ちできません」


今度は天を仰ぐ。

深く息を吐き、お兄ちゃんには後で文句の連絡を入れようと心に決めた。

眞奉が持ってきてくれた白い封筒を確認する。送り主の名前はなく宛先は実家の住所で私宛、のりでしっかり封がされていた。中身を取り出す。

一行目に大きく合格証明書と書かれていて「あ!」と声を上げる。丁度そのタイミングでスマホが鳴った。

お兄ちゃんからの電話だった。


『もしもし巫寿? 封筒届いたー?』


呑気な声に頬を引き攣らせる。


「届いたー?じゃないよ! 眞奉のこと脅して何してるの!」

『人聞きが悪いな。学校での様子を禄輪さんは知れるのに俺だけが知れないのはずるいから、少し可愛くお願いしただけだよ』


どこが!と突っ込む。

本当にお兄ちゃんは……。


『騰蛇に渡した封筒受け取った? 本庁からみたいだけど、間違ってウチに届いてたから。勝手に開けたら怒ると思って』

「そりゃ怒るよ! もうお兄ちゃんは……」

『だからそのまま送ったじゃん。で、中身なんだったの? 俺のハンコいる?』