私も同じ気持ちだった。

勝手に連れ去った上に両親まで殺しておいて、自分たちが制御しきれないからって監禁するなんて。

最低だ、ありえない。非道すぎる。思いつく限りの罵詈雑言を言ったとしてもそれじゃ足りない。


「そいつら自分勝手すぎるだろッ!」

「……耳を疑う話だね。黒狐の一族は愚かすぎるよ」

「ありえねぇ。最低だな」


皆が怒りをこらえるように唇を噛み締める。

禄輪さんが信乃くんの肩を叩いた。


「お前たちもうその辺にしてやれ、信乃も怪我人なんだからそろそろ休ませてやろう。続きは明日だ」


渋々頷いた私たち。すまんな、と片手を上げた信乃くんを見送る。


「禄輪禰宜、最後に一つだけ。瓏は今どういう状況なんですか? 体は平気なんですか?」


来光くんの質問に、禄輪さんさ目を弓なりにして頷いた。


「彼の体には封じの呪が刺青のように刻まれていたんだ。今回は皮膚を引っ掻いて綻びを作り一時的に呪を解いたことによる力の暴走だ。薫と私で呪は書き直したからもう問題ない。一晩経てば目が覚めるさ」


それを聞いて胸を撫で下ろす。

よかった、身体には問題ないんだ。


息を吐けば、禄輪さんはぐりぐりと私の頭を撫でた。