「禄輪禰宜! 瓏は大丈夫なんですか?」
「おい信乃! 一体どういうことだよ!」
二人に駆け寄った私たちは矢継ぎ早に問いかける。
信乃くんは苦笑いをうかべた。
「迷惑かけて堪忍な。瓏は眠っとるけど、今は落ち着いてるし問題ない」
「ならいいんだけど……本当に何が起きたんの? あれは瓏なんだよね?」
困惑気味に問いかけた嘉正くんに、重々しく頷き「間違いない」と続けた。
「間違いないってことは……瓏は天狐だったてことか?」
「いや違う。瓏はまだ呼び方で言うまだ気狐や」
妖狐は生きた年数によって呼び方が異なる。若い順に阿紫霊狐、地狐、気狐、空狐、天狐とあり、100歳から500歳の妖狐が気狐と呼ばれる。
つまり瓏くんは私たちと同じ見た目をしているけれど実は100年以上生きていたということになる。
いや、でも今注目すべき所はそこじゃない。
気狐の尾は多くても四本だったはずだ。だとしたら九本も尾があるのはおかしい。
それに信乃くんは"呼び方なら"と言った。つまり本当の呼び方は別にあるということ。
だとしたら瓏くんは。