「────何か起きるたび君らがいるのは何でだろうね? あはは」
椅子に座り膝に肘を着いて身を乗り出した薫先生が、正座する私たちを見下ろして笑う。
そろ〜っと手を挙げた慶賀くんを「はい慶賀」と当てる。
「俺は中等部の頃からそう思ってました」
「あはは、自覚あったんだ」
私もここ最近ずっと疑問に思ってました。
心の中でそう呟く。
神修の校舎内にある医務室、熱気に当てられて怪我をした嘉正くんたちの治療が終わった頃に薫先生がやってきた。
例のごとくまた"問題に首を突っ込んで"というお説教を頂戴し今に至る。
「でもよぉ薫センセー。俺ら今回は何も悪いことしてなくね?」
「そうですよ! なんなら人助けしたし!」
泰紀くんと来光くんの反論に「普段の行いのせいです」と手刀を落とす。あいたっ、と二人が脳天を抑えた。
無事助け出された河童と赤狐の子供たちは学校医の陶護先生の治療を受けて、今は病室で眠っている。命に別状はないらしく、後から来た二人の両親にはとても感謝された。
カチャリと病室へ続く扉が開いた。
禄輪さんと片腕を吊るした信乃くんが出てくる。
正座する私たちを見て、禄輪さんは額に手を当てて「またお前たちか……」と深く息を吐いた。