次の瞬間、尾の先に灯された怪し火がゴオッと音を立てて太い火柱を作った。 焼けるような熱さに思わず顔を背ける。 あれは瓏くんだ、間違いない。そして瓏くんの背中には九本の白い尾があった。 妖生態学の授業で習ったことがある。動物の形をした妖の多くは、生きた年数が尾の数に出る。 そして九尾を持つ狐は千年生きたとされる妖狐、天狐(てんこ)。 もしくはその天狐から生まれる、千年に一度しか誕生しない妖、千歳狐(ちとせぎつね)だ。