鎮守の森を突き進んでいると徐々に視界が白く霞み始めた。それと同時にサウナにの中にでもいるかのような熱気が肌にまとわりつく。
息苦しさに手の甲で鼻を押えた。
「信乃ッ! 大丈夫か!?」
靄のむこうから誰かの声が聞こえた。信乃くんの名前を呼んでいる。
前を走る瓏くんがその声に向かって一直線に走る。
ぼやっと数人の人影が見える。
「信乃……!」
瓏くんが叫んだ。
人影がはっきりして、皆がぱっと顔を上げる。人影は嘉正くん達だった。
「皆! 何があったの、大丈夫!?」
そう声をかけながら駆け寄る。
土の上に座り込む皆の服は所々に汚れている。なぜか頭からびしょ濡れで、汚れてはいるけれど怪我はなさそうだった。
「僕らは平気だけど信乃がまずい!」
そう叫んだ来光くんは割れた眼鏡のブリッジを押し上げて、土の上に寝転がる信乃くんを抱き起こす。
目をきつく閉じたままう苦しそうに呻き声を上げた信乃くん。服が砂埃で汚れている。信乃くんを土の上にうつ伏せに転がす。
息を飲んだ。制服の背中が燃えたように破れ、敗れた場所の皮膚が赤く爛れている。酷い火傷のような跡だ。
その時、すぐ側で小さな子供が火がついたように泣き出しす声が聞こえた。顔を上げると泰紀くんが子供を抱き抱えている。