「えっと、じゃあ庭の方行ってみようか」


うん、と頷いた瓏くん。

気を取り直して一歩踏み出したその時。

耳をつんざく爆発音が鳴り響くと同時に激しく大地が揺れた。

ぐらりと視界がゆれてたたらを踏むと恵衣くんが咄嗟に二の腕を掴んでくれて何とか転ばずに耐えることが出来た。

社頭の様子は見えないけれど混乱する声は風に乗って聞こえてくる。



「あ、ありがとう。ねぇ、今のって爆発音だよね?」

「分からん。ただ方角的には庭園だぞ」


庭園に目を向けて、飛び込んできた景色に息を飲んだ。空に登る大きな煙の塊。火山が噴火する時と同じような雲が庭園から登っている。


「信乃、鬼市……」


瓏くんが目を丸くしながらそう呟く。ハッと息を飲んだ。

そうだ、今庭園には信乃くんたちが────。

私が考えるよりも先に瓏くんが走り出した。我に返って私も階段をかけ下りる。


「おい! このッ……馬鹿共が!」


悪態を吐いた恵衣くんが後ろからおってくる気配がする。


「おい! 社頭は混乱のせいで動きづらい! 鎮守の森を突っ切れ!」


恵衣くんの声を聞いた瓏くんが迷わず階段から逸れて鎮守の森に飛び込む。

私もそれに続いた。