三人でたこ焼きをつついた後、揃って賑わう外へ出た。車道へ続く階段を並んで降りる。


「嘉正くん達に今どこにいるか連絡してみるね」

「……たぶん庭園の方でイカ焼き食べてるよ」


電話をかけようとスマホを立ち上げたところで瓏くんがそう言う。「え?」と目を瞬かせた。

スンスンと鼻を鳴らした瓏くんは「うん、信乃の匂い」と呟く。


なるほど! 信乃くんの匂いを辿ったのか!


妖生態学の授業で妖狐の一族は鼻がいいと習ったのを思い出す。連絡を取らなくても居場所を探せるのはちょっと羨ましい。

あれ、ということは。


「もしかして私が連絡しなくても、一人で信乃くん探せんじゃた……?」


スマホを持っていないと聞いていたので良かれと思って提案したけれど、鼻が利くなら自分で探せただろうし必要ないはずだ。

瓏くんが前を向いたまま口をとざす。かなり間を置いて「そんなことないよ」と呟く。


「妖狐は四日前の足跡でも嗅ぎ分ける妖だぞ」


恵衣くんのそんな一言に肩を落とした。


「俺は、誘ってもらえて嬉しかった。だから、そんなことない」


瓏くんは目を細めて少しだけ口角を上げた。

面と向かってそう言われるとなんだかちょっと気恥しい。