「私この後で嘉正くん達に連絡して合流するつもりだから、瓏くんも一緒に行く?」

「……うん、ありがとう」


そんなやり取りを聞いていた恵衣くんがひとつため息をついた。

体を戻して首を傾げる。


「お前、学習能力というものがないのか? また妙な噂立てられるぞ」


呆れた口調に肩をすくめる。

つい先日雨の中私と二人で寮に戻ったせいで、恵衣くんに不名誉な噂が立ってしまったばかりだった。

噂好きの学生たち数名が恵衣くんに噂の真相を確かめに行ったらしいのだけれど、「頭大丈夫かお前」と片っ端から一刀両断してくれたお陰で今回はそこまで大きくならずに済んだ。

ありがたいやら申し訳ないやら。


「……俺も出店に用があるから途中まで一緒に行く」


確かに三人なら平気かも、と手を打つと「阿呆かお前」と睨まれたのでまた肩を竦めた。