「なんだ、聖仁は瑞祥のことを好いてるのか?」
ふたりが出ていったドアの方を見つめながら禄輪さんが尋ねる。
思わず目を丸くして身を乗り出した。
「や、やっぱり気づきますよね……!?」
「気付くも何も、態度に出てるだろ」
普段滅多に顔を合わせない禄輪さんが初見で気がついたのに、なんで他のみんなは気が付かないんだろう。
「巫寿はいないのか? 気になってる男とか」
まさかの禄輪さんがそんな質問をしてくるとは思わず固まった。
慌てて「いません!」と否定すると「妙な間があったなぁ」とからかわれる。
その時、ゆらりと背後で何かが揺れた感覚がして両肩にそっと手が乗せられる。
「巫寿……お前を誑かしたその男は誰だい……? お兄ちゃんに言いなさい……そんな男生かしておけないからね……」
ふふふ、と不敵な笑い声が聞こえて頭を抱えた。
「お兄ちゃんいい加減にしてッ!」