しばらくみんなで雑談したあと、瑞祥さんが思い出したように手に提げていた袋を差し出した。
「いっけね、忘れてた。巫寿これ富宇先生から差し入れ!」
差し出された袋を受け取る。白いパックが三つ入っている。中からソースとマヨネーズのいい匂いがふわりとした。
「ありがとうございます。おふたりはこの後どうするんですか? 良かったら一緒に」
食べませんか、と言いかけて聖仁さんから笑顔の圧力を感じ取り口を閉じる。
「この後は聖仁と出店を回るぞ! 巫寿も来るか?」
「あー……えっと……すみません、約束があるんで」
「ちぇ、なんだよ〜」
唇をとがらせた瑞祥さんの肩を聖仁さんが優しく叩く。
「無理言っちゃ駄目だよ瑞祥。巫寿ちゃんにだって都合があるんだから。今年も二人で回ろう」
「今年も射的100本勝負してくれるか?」
「いいよ、付き合う」
「よし! 今すぐ行くぞ!」
上機嫌で部屋を飛び出していった瑞祥さん。
聖仁さんはお兄ちゃんと禄輪さんに挨拶した後、軽く私の方を拝んで部屋を出ていった。