「────さて、道中の説明で巫寿と眞奉が今どういう状況なのかは把握できたか?」


一通り社の中を掃除して回った後、和室に集まった私たち。禄輪さんが本題を切り出し、姿勢を正してひとつ頷いた。


「私の言祝ぎの総量が減ってしまったから、眞奉が私のそばにいられなくなった……」

「そうだ」

「……その原因が天地一切清浄祓(てんちいっさいしょうじょはらい)と空亡の残穢を浴びたことで、眞奉を呼び戻すには言祝ぎの量を元に戻し、かむくらの社から祝詞奏上しなければいけない、ですよね……?」


もう一度「そうだ」と頷いた禄輪さん。気まずさに身を縮めた。


数時間前、急にかむくらの社へ行くと言い出した禄輪さん。状況が掴めないお兄ちゃんに説明がてら、一学期のあの日何が起きたのかを省かず全て話すように言われ、言われた通りに話し始めると「天地一切清浄祓」という単語が私の口から出た途端、二人は表情を変えた。

結論から言えば、とんでもない勢いで叱られた。多分あんなに叱られたのは生まれて初めてだと思う。とにかく禄輪さんが怖すぎて、初めは一緒になって怒っていたお兄ちゃんが仲裁に入ってくるほどの勢いだった。

道中でも終始説教の嵐で、自分が悪いとはいえ一時間の道のりはそれはそれはもう地獄だった。

また説教が始まりそうな雰囲気にビクビクしていると、禄輪さんは額に手を当てて項垂れた。